富裕層のシンガポール教育移住の現実は?

写真:©Adobe Stock
国際都市としてますます注目を浴びるシンガポール。税制や教育レベルの高さに定評があり移住する世界中の富裕層も多い。

教育レベルの高さは世界一だと言われているが、シンガポールのインターナショナルスクールにシンガポール人はいないということはご存じだろうか?ローカルの学校は義務教育なので教育費が安いと思っていないか?

シンガポールのローカル校では、教育費を莫大にかけずして高い教育を受けられるのは事実だ。
しかし、日本人がローカル校に入学を希望しても困難な点がいくつか生じる。まず英語・中国語などの言葉の問題があり、勉強の面でも1~2年遅れている点だ。シンガポールでは人気の学区がない為、人気の学校はシンガポーリアンが優先となる。シンガポーリアンだけで定員に達しない場合、次に永住権を持つPRの希望を募る。そして残った学校に、日本人などの外国人が入学できるのだ。

さらに、授業料も国民は無料(教材費などは別)だが、外国人が入学した場合には80万近い金額がかかる。
そして、ローカル校では小学校の6年間で猛勉強し、卒業試験(PSLE)を受けて、今後の人生が決まるとまで言われている。最近では中学校以降に敗者復活の機会があるというが、基本的には小学校の卒業時点で、大学に行けるか、ポリテク(高専のような学校)か、というように将来が決められてしまう。シンガポールの教育システムは早期に優秀な人材を見つけ教育資源をエリート層に当てるという考えに基づいて作られており、そのような環境を国を挙げて作っているからこそ、PISA(Programme for International Student Assessment)で世界1位を獲るまでの教育システムが出来上がっているのだろう。

シンガポールの教育の高さは、シンガポールのローカル校でのことでありシンガポールのインターナショナルスクールや日本人学校がそうであるかというと、そうではないのだ。日本人駐在員等は、会社からの補助がある為、日本人学校に通わせることも多い。まして日本に帰国することが想定されているため日本と同じような教育システムが導入されている。インターナショナルスクールは同じく世界中の駐在員の子息が集まるが、アメリカンスクールなど運営している国の教育システムに乗っ取っている事が多い。

つまり、無償で高い教育が受けられるシンガポールのローカル校が存在している中で、インターナショナルスクールに通っているにシンガポール人は殆ど存在しないのだ。シティに近いローカル校は国の関係者のご子息や富裕層も多く、必然的に人気校となる。そういうつながりとは縁遠くなるかもしれないが、シンガポールらしいローカル校に入学させることでより国際色豊かな人間に育てることはできるだろう。

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